エンジニアリングリードとして駆け抜けた2025年:抱え込みを捨てて「決断」を軸にするまで

この記事は 🎄GMOペパボ エンジニア Advent Calendar 2025 - Adventar の21日目です。

前回の記事 エンジニアリングリードになって半年が過ぎました(前編) - rsym’s diary でふりかえりの前編を出してから2ヶ月も経ってしまいました。間をあけすぎですね💦。2025年のエンジニアリングリード(以下EL)としてのふりかえりという形で後編を記載します。この2025年4月〜12月の9ヶ月間は、「リードとしての振る舞い」を模索し、自分の中の責任感の置き所をアジャストし続けた期間でした。

なお、ELとはなにか?具体的に手がけた業務などは前編にて記載しているのでそちらをご覧ください。

「自分が決めないと(でも決められない)」という呪縛

就任してからしばらくの間、私は「ELになったのだから、自分が誰よりも動いてリードしなければならない」という強い思い込みを持っていました。具体的には、以下のようなことまで「自分の手」で完結させようとしていました。

  • スクラムイベント(レトロスペクティブやプランニング)の進行や場作り
  • チームビルディングのための施策立案と実行
  • 進行中のプロジェクトにおける細かな進捗管理や技術的判断

しかし、現実に起きていたのは、責任感ゆえにあらゆるボールを自分一人で抱え込んでしまい、思考や行動が追いつかずに停滞してしまう……という本末転倒な状態でした。

プロジェクトマネジメントにおける試行錯誤

8月からは大規模なパブリッククラウド移行プロジェクトが始まり、プロジェクトマネジメントを担当することになりました。ここでも当初は、管理の軸をどこに置くべきか悩む日々が続きました。

その中で、前述した「抱え込み」から脱却する大きな一歩となったのが、「ミニプロジェクト化」と「権限移譲」の実施です。

これは私一人のアイデアではなく、チームのシニア・ミドルエンジニアから「こう進めてはどうか」という提案をもらったことがきっかけでした。 その提案を受け、私はそれを具体的な形に落とし込み、各メンバーに進行を任せるという意思決定を行いました。

自分ですべてを詳細に管理するのではなく、機能を切り出して任せる。自分は「期限」と「遅延の見極め」、そしてそれをジャッジするための「マイルストーン策定」という、より高い視点での振る舞いにシフトすることを意識しました。

正直なところ、今のプロジェクトが「順調です。楽勝です。」といえるほど、まだ十分な手応えを得るまでには至っていません。しかし、この経験を通じて得た大きな学びがあります。それは、プロジェクトの進め方に限らず、何かを始める時や考える時は、初めから周りの力を借りてアイデアをもらったほうが良いということです。自分は、集まったアイデアをもとに最後の「決断」を下し、その後の「結果」に責任を持てば良い。そう思えるようになったのは大きな変化でした。

ELがすべてを一人で企画し、抱える必要はありません。チームでの議論をしっかりと聴き、時には意見を出し、それらを咀嚼した上で、最終的に「やる・やらない」の旗を振る。自分は、集まったアイデアをもとに 最後に「決断」を下し、その後の「結果」に責任を持つ 。これこそが、今の自分に求められている「マネジメント」としての本当の役割の一つだと気づけました。

ピープルマネジメント:個に向き合うことで見えたもの

こうした組織的な動きの模索と並行して、ピープルマネジメントにおいても新しい試みを始めました。

もともと1on1自体は定期的に実施しており、メンバーの悩みを聞いたり、その場だからこそ話せる本音を引き出したりすることを大切にしていました。ただ、振り返ってみると、どうしても自分も相手も「今起きていること」に意識が向きすぎてしまい、目先の課題解決だけで時間が終わってしまうことも少なくありませんでした。

そこで、下半期からは意識的に「先のこと」にフォーカスする問いかけを増やしました。

特に意識したのは、「曖昧ならそれでもいいし、ふわっとしていてもいい。もしペパボでの現在の業務を一度無視して、自分のキャリアをわがままに決められるとしたらどうしたい?」という聞き方です。

会社や組織の枠組みを一度外し、あえて「わがまま」を許容して対話してみたところ、今まで見えてこなかった意外な発見や、本人が本当に伸ばしたいと思っているスキルが次々と見えてきました。今この瞬間の困りごとを解決するだけでなく、一歩先の未来を一緒に描くことで、メンバーそれぞれの「人となり」をより深く理解する良いきっかけになったと感じています。

最後に

ここまで読んだ方は「ペパボのエンジニアリングリードって、エンジニアリングマネージャとほぼおなじかな?」と感じている方が多いと思います。 はい。その通りです。エンジニアリングマネージャ(以下EM)に近い役割が求められます。といっても事業部によって色があって一概には言えないのですが、EMのようなものと思ってもらえると良いと思います。

EMに求められる意思決定とそこに至るまでの解像度が少しだけ鮮明になった。そんな2025年だったと思います。といっても「一人前のEMになれましたか?」と聞かれると答えは「No」となります。来年は「Yes」と答えられるようになりたいです。 そのためには「もっと人を動かす力」を身につける必要があると考えています。たとえばパブリッククラウドの移設プロジェクトにおいて、期限までに完遂させるために対象の機能がまだ多いこと、移設にあたってのコスト管理(プライベートクラウドより高価なので与実管理がより重要になる)などの課題があります。この課題をチームメンバーと常に議論し、アクションを決めて、実行を促す。以前の自分だったら「アクションの中身まで自分がすべて決めよう」として、結果として何も進まない……というオチになっていたはずです。

2026年の末に「一人前のEMになれましたか?」と聞かれたら、自信を持って「Yes」と答えられるように。この新しい軸を武器に、また一年向き合っていこうと思います。