2025年4月1日に、GMOペパボ株式会社技術部のエンジニアリングリードに就任しました。
気が付いたら10月に入っておりもう半年が過ぎました(早いですね💨)。
せっかくなので半年間の振り返りをしようかと思います。
半年間の取り組みをいろいろ書いていたら文章量が多くなってしまったので、前編・後編に分けることにしました。
前編は半年間で取り組んだことを中心に、後編ではふりかえりと今後のやっていきについて書きたいと思います。
エンジニアリングリードとは?
弊社のエンジニア職は、4等級以上の職位になるとプロフェッショナルとマネジメントに分かれます。
エンジニアリングリードはマネジメントの4等級に該当します。
マネジメントの職務は「部門方針・目標および全社技術方針に基づき、部門全体の技術選択および技術者組織について方針を決定し、実行します。」と定められています。
事業部CTO・シニアエンジニアリングリードと協力してこの職務を果たしていくことになります。
詳細は過去に書いたブログをご参照ください。
エンジニアリングリードに就任しました - rsym’s diary
この半年間でやったこと
1. 組織体制の変更に伴うスクラムのリブート
エンジニアリングリードに就任する前もスクラムに取り組むための体制の整備には取り組んできましたが、チームの人数・メンバーが大きく変わりました。
技術部 技術基盤グループは、旧「技術基盤グループ」と「プラットフォームグループ」が統合され、ひとつのチームとして再始動しました。
統合に伴いミッションもリブートされたため、スクラムも新体制に合わせて再構築する必要がありました。
具体的には、スプリント内で全員がタスクについて協議しあい、それをふりかえる仕組みの整備を進めました。
旧体制で実施していたスクラムの仕組みをベースにしつつ、直近で力を入れているプロジェクトに軸足を置いた運用へと移行しました。
ちなみに弊社のテックブログで「絶対倒すタスク」通称「ZETTAO」が登場したのも、このスクラムの振り返りイベントであるスプリントレトロスペクティブで生まれたものです。
tech.pepabo.com
2. 1on1
1on1は就任前から継続していましたが、就任後は技術部を横断した1on1にも取り組むようになりました。
技術部には私が主に関わっている「技術基盤グループ」のほかに「ホスティングインフラグループ」というホスティングに関する事業のインフラを担うチームがあります。
このチームで求められる技術スタックにはオンプレミスの要素やメールホスティングの要素があり、私が取り組んできた業務と通ずる部分があります。
このような背景から、後述の「5. エンジニアの評価」にてホスティングインフラグループの一部メンバーの評価を担当することになりました。
一方で通ずる領域があるとはいえ、その方たちの業務を詳しく把握しているわけではありませんし、普段から一緒に業務しているわけではありません。
そこで、お互いの普段どんな仕事をしているのか・興味のある技術領域は何か・今後頑張りたいことはなにかといったことを1on1を通じて話していくことにしました。
頻度は月一を目安に実施していますが、メンバーを観察してスポットで実施した方が良さそうと判断した時は都度声をかけて1on1することもあります。
自分の場合、1on1はキャッチアップ型で進めることが多いです。キャッチアップ型とは枠組みは特に持たず「メンバーが話し合いたい事柄を告げてもらい、自分は耳を傾けることに徹する方式」です。
この方式は「創造的な議論」をしやすいメリットがある代わりに、「心理療法」「不満を吐き出す場」で終わってしまう場合もあるというデメリットがあります。
もちろん理想は常にオープンな場での話し合いができることですが、現実としてそうはいかないことがあると思います。
例えば、チーム全体に対してだとどうしても話しにくいこと、その場ではうまく表現できず消化不良に終わってしまうことなどです。
これを野放しにすると、その方にとってはフラストレーションになり、お互い不幸になってしまいます。
そういったことに対してアンテナを張れるようにキャッチアップ型を採用しています。
また、ホスティングインフラグループのメンバーとの会話においても、取り組んでいる業務やチャレンジしていることなどについて話す目的でも、このキャッチアップ型はとてもマッチしていると考えています。
3. 登壇
2025/5/9に開催された「Road To SRE NEXT@福岡」にてLTをしてきました。
2024年の下半期くらいからメールのスパム対策ソフトウェア「rspamd」を扱う場面が増えてきて、これを通じてスパム対策にあたってログから収集された情報に基づきデータドリブンで対策を強化できないか?という取り組みをしていました。
それを発表させていただきました。
昨今、メールホスティングを扱うサービスは決して多くはないと思います。
不安もありましたが、実際には予想以上の反響があり、懇親会でも多くの方が興味を持ってくださいました。発表してよかったと思える経験でした。
余談ですが、福岡の飯は美味しい😋
speakerdeck.com
4. エンジニアの評価
エンジニアリングリードに就任して初めて取り組んだことその1です。
ペパボでは半年に一回(4等級以上は年に一回)エンジニアを評価する制度があります。
各エンジニアに専門職上長と所属上長がついて、半年ごとに各エンジニアのチャレンジや実績について話し合い評価を決めています。
視点は多々ありますがたとえば以下のような視点でエンジニアを評価します。
- 事業目標を達成するためにどのように技術的な課題を解決してきたのか
- 事業を支えるための理想像としてどのようなエンジニアリングをしていくべきか、理想像の達成を阻害する課題をどのように解決し、改善に結びつけているか
- ペパボのプレゼンスに寄与するような活動を組織内外問わずに取り組んできたのか
ここで注意すべき点として、評価者はただ淡々と点数をつける立場ではないということです。
評価者は、被評価者となるエンジニアに等級要件について正しく理解してもらうために支援・目線合わせをしたり、
より高い点数を得るためにどのような取り組みをすべきか、あるいは実績がすでにあるならどのようにアピールすべきか、
継続的に支援していく使命も課せられています。
以下に弊社のエンジニア組織と制度について書かれているので参考にどうぞ。
弊社ではエンジニア職・マネジメント職が等級で分けられており、等級ごとに職能要件が設けられています。
それに相当する実績を残したかが評価の軸となります。
また弊社ではいわば追認で新たな職位に着くことができる制度となっており、
現在の等級よりさらに上を目指す場合、「上の等級に相当するだけの実績をすでに残しているか?」という視点が求められます。
このような視点を身につけてもらうために支援するのも評価者の役割となります。
tech.pepabo.com
ここからは私個人が評価者として意識していることを書きます。
評価者になるにあたり、エンジニアリングリードに就任する前、つまり3等級エンジニアだった時代に私の評価者であった @hiboma さんからの教えを大切にすることを意識しています。
詳細は割愛しますが端的には以下の5つです。
先述した内容と通ずる部分もあります。
- 評価者 is not 採点官
- 評価プロセス is not プロジェクトマネジメント
- 評価者 is not 指導者
- 評価者は傭兵として支援
- 評価者はセコンドとして支援
実際 @hiboma さんにはたくさんのことを支援していただきました。
当時、被評価者であった私目線では「点数を付けられているという感覚はほとんどなく、気づいたらいろんなことに取り組んでおり、気づいたら相応の点数をつけられるだけの実績を積んでいた」そんな感覚でした。
この教えは、個人的には評価者の理想像の姿だと思っており、私もそうなるべく評価者としてのスキルを磨かねばという今日この頃です。
5. 採用活動
エンジニアリングリードに就任して初めて取り組んだことその2です。
以下に取り組むようになりました。
- カジュアル面談(これは就任以前も実施したことあり)
- 中途採用の書類選考
- 中途採用の一次面接官
- 採用のための定例・キープへの参加
また、採用というよりはペパボのファンを増やすことが主目的ですが、7/17に開催された「ペパボおごりナイト」にも参加し、来場いただいた様々な方と交流しました。
クリエイターの方はもちろん、エンジニアの方も来ていただいており、そのエンジニアの方が普段やっていることや私が普段やっていることなど、いろいろお話できました。
このイベントに参加いただいている時点で、その方たちはすでにペパボのファンである、あるいはペパボにちょっと興味を持っている、というような方々だと思います。
すでにファンである方にはもっとペパボを好きになってもらい、ちょっと興味を持っている方はペパボのファンになってもらう、そんなきっかけが生まれる楽しいイベントでした。
また、「3. 登壇」で記載した「Road To SRE NEXT@福岡」でも、発表後の懇親会を通じてペパボのメールホスティングの運用に興味を持っていただきました。
この活動も広義にはファンを獲得する活動であり、話を聞いたエンジニアが将来転職を考える時に「ペパボ」が選択肢になってくれたらいいなという種まきの意味合いも込められています。
6. エンジニアリング
さてここまではマネジメントや採用に関わる活動について書きました。
でもエンジニアであることを忘れてはいけません。
エンジニアリングリードはエンジニアリングでも結果を出すことが求められます。
現在私が特に関わっているサービスとしてカラーミーショップとSUZURIアルバム(旧30days Album)があります(それ以外に関わることもあります)。
大まかには以下のような取り組みをしてきました。
- カラーミーショップのメールホスティングの運用
- スパム対策ソフトウェアの導入を通じたメールのセキュリティ対策の強化
- 詳細は先述の「3. 登壇」の資料をご参考にしてください
- カラーミーショップの特定機能のパブリッククラウドへの移設(主にプロジェクトマネジメント)
- プライベートクラウドで運用していた機能について、サービスのスケーリングや信頼性に重きを置いたアーキテクチャを実現するための移設に取り組みました
- 自分はデータ移行に関する部分を担当しつつ、プロジェクト全体のマネジメントを実施しました
- カラーミーショップのセキュリティ対策
- 弊社では各商材で毎年セキュリティに関する施策を事前に宣言しそれを年内に着実に完遂するための取り組みを実施しています
- 技術基盤グループはカラーミーショップのプラットフォームに関するセキュリティ施策を担っており、私はそれを達成するために技術基盤グループのメンバーを巻き込んで遂行しています
- SUZURIアルバムのオンプレミス環境の継続的なリプレース運用と各種ソフトウェアのアップデート対応(主にプロジェクトマネジメント)
- SUZURIアルバムのセキュリティ対策
- 「カラーミーショップのセキュリティ対策」と同様のことをSUZURIアルバムでも実施しています
- そのほかにも各サービスの障害対応なども実施しています
エンジニアリングを担いつつ、プロジェクトマネジメントに近いこともやってきました。
お恥ずかしい話、後述する新規に取り組んだことをはじめ苦戦した部分があり、プロジェクトマネジメントもうまくコントロールできないことが多々あったと思います。
それでもプロジェクトに関わっていただいたメンバーが、皆優秀な方で皆様のおかげでプロジェクトを完遂できたと思います。
かかわっていただいた皆さん、本当にありがとうございました。
前編はここまで
これだけで長くなってしまったので一旦ここまで🙏
この半年間で取り組んだことを書きました。
後編では「ふりかえり」「今後どうしていくか」を中心に書こうと思います。